IR/英文開示関連トピックス

令和7年度英文情報開示支援事業の個別支援希望企業の募集が開始 

  一般社団法人東京国際金融機構 /2025年4月25日

このプレスリリースは、一般社団法人東京国際金融機構が「令和7年度英文情報開示支援事業(Disclosure G)」の個別支援希望企業の募集を開始したことを知らせるものです。
この支援事業は、東京都の補助事業として実施されるもので、主に東証グロースおよびスタンダード市場の時価総額1,000億円未満の上場企業を対象としています。支援内容は、エクイティ・ストーリーの構築支援、決算関連資料の作成アドバイスと英訳支援、海外投資家とのコミュニケーションアドバイス、そして今年度から新たに「IR動画」の制作支援が加わりました。
応募要件として、東京都内に拠点があること、IR体制があるか整備予定であること、ESG要素を考慮した事業活動を実践または計画していること、グローバル市場への事業展開があるか計画していることなどが挙げられています。令和7年度は15社程度を選定予定で、第一次締切は5月23日17時となっています。
株式会社日本取引所グループと株式会社東京証券取引所が後援しているこの事業は、新興市場の企業の国際的な情報発信を支援し、国際金融都市としての東京の地位向上を目指す取り組みの一環といえるでしょう。

東京大学応用資本市場研究センター(UTCMR)、第4号となる政策提言「株主提案行使要件の引き上げに異議 ~対話不足を克服する日本独自のガバナンスモデルの追求へ~」を発表 

 東京大学応用資本市場研究センター/2025年4月24日

この報告書は、東京大学応用資本市場研究センターが発行した政策提言であり、株主提案権の行使要件引き上げに反対する立場を表明しています。経済産業省などの提言に言及しつつ、日本独自のガバナンスモデルを追求する必要性を強調しています。特に、中小規模の上場企業におけるエンゲージメント不足の問題や、株主提案が問題解決の適切な手段であること、そして欧米とのガバナンス環境の違いを根拠に、安易なハードル引き上げは日本の資本市場の発展を阻害すると論じています。結論として、株主提案権を活用しながら、日本に不足している対話のインフラを構築する議論が進むべきだと提言しています。

IR 体制の整備の義務化

大和総研 政策調査部  神尾 篤史主任研究員/2025年4月23日

このレポートは大和総研の神尾篤史主任研究員が東証のIR体制整備義務化について分析したものです。東証は2025年4月14日から開始したパブリックコメントで、IR体制の整備を企業行動規範の遵守すべき事項に定めるとしています。ただし専任部署や担当者の設置などの画一的な定めは置かず、各社が自社の状況に合わせた体制整備を行うことを求めています。筆者は形式的な対応だけでは不十分であり、投資家との実質的な対話促進が重要だと指摘しています。特に「IR体制が十分整っていない」ことを理由に投資家との対話を断るような姿勢は改めるべきとの見解を示し、上場会社が義務化を契機に自社のIR体制を見直す必要性を強調しています。

逆風の今こそESG開示に求められること

三井住友DSアセットマネジメント /2025年4月21日

この記事は、トランプ大統領再選という「ESGにとって逆風」といえる状況下で、日本企業が今後ESG開示においてどのように対応すべきかを解説したものです。

記事では、トランプ政権の政策がESG(特に気候変動対策やDE&I)に否定的であるという現状を説明しつつも、ESGの取り組み全体が重要性を失ったわけではないと主張しています。また、日本においてはISSBに準拠した開示基準の策定やアセットオーナー・プリンシプルの導入など、むしろESG関連の取り組みが加速している背景を説明しています。

特に記事で強調されているのは、企業がESGと財務のコネクティビティ(関連性)を効果的に開示し、ESG施策が企業価値向上にどのように貢献するかを投資家に説得力をもって伝えることの重要性です。その具体例として、ROE逆ツリー分析の活用方法や、伊藤忠商事、日立製作所、コンコルディア・フィナンシャルグループ、日清食品ホールディングスなど、ESGと財務の関連性開示に先進的に取り組む企業の事例が紹介されています。

広報・IR部門の生成AI活用状況調査:「本格活用期」へ、リスクとどう向き合う?

日経BPコンサルティング CCL. /2025年4月18日

この記事は、日経BPコンサルティングが2025年3月から4月にかけて実施した「広報・IR部門の生成AI活用状況調査」の結果を報告するものです。調査は広報・IR業務従事者を対象に行われ、有効回答数は96人でした。記事では、企業の広報・IR部門における生成AIの活用状況や今後の展望について分析しています。 
記事のサブタイトル「高まる企業価値創造への可能性──定型業務の効率化からイノベーション創出まで」が示すように、生成AIが企業コミュニケーションに新たな可能性をもたらしている状況と、広報・IR部門での業務効率向上から戦略的活用まで、その活用範囲が広がっていることが報告されています。

日本企業のエンゲージメント(株主・投資家との対話)に関する優良事例/

第8回 「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会(経済産業省)

 /2025年4月14日

この資料は、経済産業省が主催する「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会で使用された企業事例集《「稼ぐ力」の強化に向けたCGガイダンス 別添 企業事例集(案) 》です。この資料の27ページから30ページに、キリンホールディングス株式会社と株式会社丸井グループという2社の株主・投資家とのエンゲージメント(対話)に関する先進的な取り組みが紹介されています。 

資料では、両社がどのように株主・投資家との建設的な対話を実現し、その対話から得られた意見を経営に反映させているかが詳細に解説されています。キリンホールディングスでは体系的な対話の仕組みと情報開示の充実、丸井グループでは投資家出身の社外取締役が委員長を務める「戦略検討委員会」を活用した取り組みが特徴的です。 

これらの事例は、企業価値向上に向けた投資家との対話の重要性と、その実践方法を具体的に示すものとして、上場企業のIR担当者にとって参考になる内容となっています。 

 IR部署・担当者、東証が上場企業に義務付け 違反は罰則

日経新聞イブニングスクープ(有料記事) /2025年4月9日

この記事は、東京証券取引所がIR(投資家向け広報)体制の整備を上場企業に義務化する方針を伝えるニュースです。東証は2025年夏頃をめどに「企業行動規範」を改定し、IR担当役員や担当部署の設置などを上場企業に義務付ける計画であることが報じられています。記事では、この取り組みが投資家との対話促進と中長期的な株価上昇を意識した経営の定着を目指すものであると説明しています。具体的には企業行動規範の「順守すべき事項」にIR体制整備に関する項目を新設し、近くパブリックコメントを開始、7月頃の施行を目指すとしています。(有料記事です。)

 「事業計画及び成長可能性に関する事項」の英文化が最優先/グロース市場における英文開示の必要性とその方法を解説  

ログミーファイナンス/2025年4月3日

 この記事は、グロース市場上場企業向けの英文開示についての講演内容を文字起こししたものです。ログミー社の富山氏と英文開示スペシャリストの寺崎氏が、グロース企業が海外機関投資家にアプローチするために必要な英文開示の意義とその具体的な方法について解説しています。記事では、グロース企業にとっての英文開示の必要性、エクイティ・ストーリーの作成方法、開示資料の優先順位、および英文資料作成のテクニカルなノウハウなどが詳しく説明されています。特に「事業計画及び成長可能性に関する事項」の英文化の重要性が強調され、海外投資家に効果的にアピールするための翻訳スタイルや表現方法についての実践的なアドバイスが提供されています。